たまに、ごくまれにだけど、クッシーってホントはどんな人なんですか?って聞かれることがある。
それはロンドンのベーカー街のシャーロック・ホームズに手紙を出す人やスコットランド・ヤードに電話してジャップ警部を通してベルギー人の小男の消息を知ろうとする人や、もしくは横浜の馬車道あたりをうろうろして石岡とい名の表札が下がっているアパートを探す人などと同じだとぼくは思う。(すみません。一部マニアックですう)(注:1)
クッシー物語はフィクションであり実際に存在する個人、団体名とはなんら関係はないのだ。だが少しだけヒントをあげよう。クッシーの容貌はハリーポッターそっくりなのだ。(くっくっくっく)そう、探せば君の周りにもいくらでもハリーポッター・・・・ではなくクッシーはいるはずだ。
雨が一日中降っていた。朝から晩まで。僕の記憶によれば、その日はぼくが朝、目を覚まして、夜寝る時まで降っていたと思う。その日僕はかねてから「らいたーのU子さん(注:2)」に頼まれていた仕事でU子さんと一緒に柏崎まで写真撮影に行くことになっていた。化粧品会社のパンフの仕事とやらでぼくは柏崎のかわいいおねぃさんの顔ををふぃるむにおさめればいいらしい(もって帰るのはだめらしい)
言い忘れたがぼくはカメラマンだった。それもどうやら頭に「プロ」と言う字がつくらしい。どんどん年をとってくると物覚えが悪くなる。昔からいろいろ特殊な仕事をやらされたりしていたので、自分が何屋さんなのかわからなくなっている。どうやらゴムひもを売り歩くセールスマンではないようだ。
そういうわけでぼくとU子さんは土砂降りの雨の中を車で一路柏崎へ・・・・・・・う〜ん?運転しているのは?クッシーじゃないか!あのどうしようもなく、救いようがない、前代未聞の、この世にふたつとない、最悪の、親も見離す・・・そこまでいかないか・・・方向音痴に加えて距離感覚音痴でもあるクッシーが運転しているではないか!ぼくはと言えばクッシーの車の後部座席で寝転んでいっしょーけんめー何やら書類を読んでいた。U子さんは助手席でクッシーと話をしている。クッシーはぼくが助手席にいる時よりのーべん(能弁)(注:3)になっている。
そうだった。 ぼくはU子さんから撮影の仕事の依頼を受けて、それが柏崎だということで、連想ゲームのようにクッシーを連想して、早速クッシーに連絡したら、クッシーは頼みもしないのに車の提供とついでに自称優良ドライバー付として運転も買って出たのだった。
つまり今回はクッシーは柏崎に何の用事もない。れじゃーだ。しかも雨の日の。
うっとうしさをとおーりこしてはらがたつくらいに雨は降り続いていた。雨が降るくらいなら雪のほうがいい。でも雪が降ると雨の方がいい。世の中は思いどおりに行かないものだ。それでもクッシーはU子さんと楽しそうに話してしいる。運転はだいじょーぶか?ぼくたち3人の運命は神のみぞ知るだ。
「クッシー!はいどろぷれーにんぐ現象ってしってる?」とぼくは後部座席からなので大声でたずねた。とたんにクッシーは一瞬無口になる。それでも
「ぼくは免許とったのおそかったので・・・(だから、それくらい知ってるよ)・・・」
いうまでもないが(それくらい知ってるよ)はぼくの勝手な補足事項だ。
「ほら、雨の日に起きる現象」とU子さん。
クッシーはそれきりフェードアウトで黙りこんでしまった。ぼくはただ、どしゃ降りの雨の日に高速道路であまりとばすな、と言いたかっただけで、別に他意はない。つまんないのでぼくはまた書類に目を通すことにした。クッシーはまた何事かU子さんと話し始めていた。げんきんなやつだ。雨はいぜんとしてやむ気配はもーとーないみたいだ。
U子さんはネオのおかあさんだ(注:4)ネオはまさあき(注:5)よりひとつ上だったとおもう。が、満5歳児だ。ネオはぼくのことを本人いわく。
「いじわるだから・・・」(注:6)きらいらしい・・・。ぼくはネオに
「ぼくはネオだけじゃない。みんなにいじわるなんだ」と教えてあげたけど、信じてもらえなかったみたいだ。ネオはクッシーの友達だ。つまるところ、ぼくもクッシーも5歳児並のれべるなのだ。ぼくにいたっては5歳児からも嫌われるいじめっ子なのかもしれない。ぼくは一日最長で20分しかガキの相手はできないが、それでもカップラーメンの待ち時間と同じ3分しかかつどうできないウルトラマンよりはましだと思っている。クッシーはぼくより長い時間、ガキのあいてができるらしい。その点はぼくよりうわてだと思う。
U子さんのなびげーたーがよかったのか、ぼくたちはほとんど迷うことなく目的地に着いた。U子さんを先におろして、ぼくとクッシーは近くの駐車場へくるまを置きに行った。そこでぼくは初めて「クッシー物語」の存在を明かした。
「どうせ、ぼくのことをふざけてかいているんでしょう」
「いやいや、そんなことは・・・あるよ」
「訴えてやる」
「へーんだ。ちゃんとふぃくしょんですってかいてあるもんねー」
「あっそうか」
みんなきたいしたかもしれないが、はなしはこれで終わった。
U子さんがインタビューしている間、ぼくはきれいなおねいさんを撮りつづけた。クッシーはというと、手持無沙汰だろうからとぼくがカメラを一台預けていたので、ぜんぜん関係ないものを撮りまくっていた。あとでみたけど使える写真は一枚もなかった。クッシーはふぃるむがはいっているとは思わなかったと言っていたが、いまどきのカメラで空シャッターがきれるカメラはそうそうない。そのじむしょだかおみせだかわからないばしょには「フェレット」がおりに入れられて飼われていた。クッシーはときどき「じっ」とそれを見ていた(注:7)きっと「てれぱしー」で「いしのそつう」をはかっていたのだろう。ぼくは人間なのでよくわらないが・・・。
しごともぶじにおわり、ぼくたちはきたときとおなじ体制で帰路に着いた。もうすぐ新潟西いんたーに着こうかというとき、ぼくは後部座席から(今、なんきろくらいだしているのだろう)と思い。おもむろに計器類をのぞきこんだ。ガソリンメーターが「E」をさしていた。警告ランプはついていないが、このくるまがどのくらいまでもつのかはぼくは知らない。クッシーはなおさらだ。その日はぼくもU子さんも中央インターの近くに車を止めていたので、そこまでもてばいいやととっさに考えた。そこからクッシーの家までのことは知らないですませよう。
「クッシー、ガゾリンがのこりすくないぜい」
とぼくが言ってもクッシーはガソリンメーターがどれかわからないようだ。この車はクッシーママと共同で使ったいるので、ガソリンを入れるのはいつもクッシーママなのだろう。クッシーはスピードメーターしか、しらないらしい。
「クッシー、スピードメーターの横にある同じくらいの大きさのメーターはなーんだ」(答えはタコメーター)
「ほら、これこれ」 とU子さんも横から指差した。U子さんはおそらく知っているのだろう。まあ、きいたぼくがばかだった。
クッシーは「う〜ん」と言ったまま黙り込んだ。つごうがわるくなるとだまってしまうのだ。5歳児といっしょだ。5歳児にいじわるなぼくと5歳児に好かれるクッシーと立場は違うけれど、人間的レベルはやはり5歳児なみなのだろう。
おかあさん・・・きょうは・・・無事、柏崎から帰って来れたことを神に感謝しておいてください。
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