諸橋近代美術館

福島県に「諸橋近代美術館」というところがある。磐梯山の裏、五色沼入り口とパンフには書いてある。去年の初冬、そこへ行ってきた。

そこまで見に行く人もいないのか、あまり宣伝もしていないのか、土曜日だったこともあってか、シャガールを見に行った時ほどの混みようではなく、ちょうどいいくらい(?)だ。もっとも、誰もいないほうが理想的なんだけど。

展示してあるのは、別にダリだけではない。しかし、圧倒的数においてダリの作品を集めた美術館といっても差し支えないと思う。美術館を作った人が(諸橋さんという人か?)ダリの作品が好きで買い集め、開いたそうで、中にはインド航空の灰皿のように、使用されていたものもある。それはそれで、日常の中のデザイン性のようなものが感じられて、わたしとしては非常に興味深かった。

アバンギャルドなせ性格も持ち合わせている(そもそもアバンギャルドなのかもしれないが)作品群の中でも、くにゃっと曲がった時計といえば思い当たる人もいるかと思う。もちろん絵もあるが、どちらかというと造形物が多い。

受付のお姉さんが、どちらからいらしたんですか?とお愛想からか、たずねられたので、新潟からです、というと、新潟は雪は降ってますか?とさらにたずねられた。いいえぜんぜんというと、そうでしょうねという答え。美術館の外は初雪かどうかわからないが、さきほどからさらさらと雪が降っていた。

作品は大作りのものより、小さいものの方に心惹かれた。美術評論家ではないので個々の批評は控えるが、帰り際に売店で、どうしても気になるポストカードがあって、それはもちろんダリの絵を印刷したものなのだが、売り物の額の中に入っていた。それと同じポストカードはポストカードとして売られている商品の中にも、作品集の中にもなかった。そして、最悪なことにどうしてもそれが欲しくなった。店員さんが言うには、販売用のポストカードの中にあるはずだという。在庫品などあちこち探してもらったが、結局なく、その一枚きりのポストカードは上司の許可でもないと販売できないらしく、売ってもらえなかった。もっとも結構薄汚れていて、商品とは呼べない代物だったのだが、額ごと買うにはその額はあまりにも高すぎたのと額のデザイン自体も気に入らなかったので、結局あきらめて、他のポストカードを何枚か買った。

いづれかの機会にまた、訪れることもあるだろうし、そのころには在庫も揃っているだろう。 それにしても諸橋さんはそうとうのお金持ち(だった?)にちがいない。美術館の立地条件も私は気に入っている。美術館はこういうところにあってこそ、足を運びたくなるのだ。街中はいけない。

2003.02.18
-- 祐 筆 --